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在宅医療に向いている患者さん(ずぼらな人の方が在宅介護に向いている!?)
在宅でできる医療の限界の問題がありますが、患者さん側の立場としても在宅医療を始めるにあたり向き不向きがあると思います。在宅医療はまだ一般的ではありませんのでイメージがわきにくいかもしれませんが(このブログは11年前のブログの再掲です)、在宅医療で問題になるのはその家庭内での介護力と本人・家族の不安感です。治療と家庭生活の両立をはかり住み慣れた自宅での療養を行うことが在宅医療であると言えば聞こえはいいですが、実際の現場では家族の介護負担が大きいため在宅生活を断念され入院・施設入所される方がいます。それに加えて在宅医療では、ナースコールのボタン一つで来てくれる病院と違い、特に夜間は本人・家族もしくは本人のみになるので本人・家族の不安が強くなり入院・施設入所される方もいます。介護保険を利用し、ケアマネージャーを中心としてわれわれ在宅クリニック、訪問看護ステーション、居宅事業所(訪問ヘルパー、訪問入浴サービスなど)をうまく利用すれば、そのような問題も軽減できますが取り除くことはできません。ある訪問診療をされているDrが在宅療養を続けていく秘訣は“本人の強い意志と家族(周囲の方)の愛だと思います”と言っておられましたが、私もその通りだと実感しています。
みなさんは在宅医療に向いている主介護者の人柄はどのような方だと思いますか?在宅療養中の患者である家族のことを心から心配してなおかつ几帳面でまめに介護に気を配れる方だと、私はある時期まで思っていました。しかし、時折このような方で在宅療養がうまくいかない例があります(もちろん大多数はうまくいっています)。当初は私たち在宅スタッフ側もこの家族ならしっかりしていて大丈夫と思っていても、几帳面でまめな方は完ぺきを目指すために、次第にできることの限界や疲労を感じて入院・入所になるケースがあります。それに比べて、在宅療養中の患者である家族のことを心から心配して、なおかつ”ずぼら”な方がうまくいく例があります。当初は私たち在宅スタッフ側がこの家族の介護で大丈夫かなと思いハラハラしながらサポートしているのですが、結果的に主介護者が抱え込みすぎずに適度に息抜きと介護を両立させるからだと思います。ただ”ずぼら”に見えても患者である家族のことを心から大切に思っている事が大事で、ずぼらでお互い自由気ままな信頼関係のない家族では在宅医療は不可能です。