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診察時に嬉しいこと

    前回のブログで新年一回目のブログは明るい内容にしたいと書いたので、今回は診察していて嬉しいと感じることについて書こうと思います。

    まずはやはり単純に「体調がいい」や「不調が改善した」と聞くと嬉しいですが、そこから一歩進んで体調がいいからできたことなどを聞くとより嬉しく感じます。たとえば、散歩や旅行など外出した話や友人や同居していない家族が遊びに来た話を聞くのはとても嬉しいです。医師の仕事は病気を治したり不調を改善させたりすることですが、その仕事の最終的な目標というか存在意義というのは人の生活を豊かにするということだと思っているので、患者さんの生活の質が上がったお話を聞けるととても嬉しいです。

    さらに極端に言えば、別に医学的な関係がないことでも楽しかったことや嬉しかったことを聞くのも私は嬉しいです。たとえば昨年は阪神タイガースが優勝しましたが、阪神ファンで喜んでいる患者さんも多かったです。この場合、患者さんを喜ばせているのは阪神の選手たちで私たち医療者ではないですが、その喜ぶ姿を見られて私も嬉しかったのです。

    それに案外そういった医療に直接関係のない日常の話でも医療的に全く無意味というわけではありません。日頃の調子のいいときにそういった話を聞いていると、患者さんの人生にとって重要なことが抽象的ではありますが感覚的に理解できてきます。そこを理解できていれば、たとえば急に体調が悪くなった時など、人生の岐路のような時に、どういう選択があってどういうメリットやデメリットがあるのかを適切に伝えることがより円滑にできます。医療というのはそういう人生の大きな選択に遭遇する場面が多く、特に在宅医療では医学的な話が全てではないことも多いです。医学的には多少不利でも、その方が患者さんの人生がより豊かになる選択を患者さん自身がすることもあり、そのためには先ほどのように患者さんの人生において大事な部分というのを私たち医療者もわかっていた方がより良い選択肢を提案できると考えます。

    そんなわけで診察の際には患者さんに医学に関係ない話でも気軽に話してもらえれば嬉しいですし、そういった話も気安く話したくなるような存在でありたいです。

    あとは個人的なことですが動物が好きなので、患者さんの家で動物に出会えるのも嬉しいです(笑)。動物はすごいですね、医師よりもよほど患者さんの人生を豊かにできていると感じます。それも患者さんの家族なので当然と言えば当然ですが、私たちのことまで幸せな気分にしてくれるのはやはり動物の持つ癒しの力の賜物だと思います。